収集運搬業務に伴う産業廃棄物マニフェストに関する違反行為と罰則

収集運搬業務に伴う産業廃棄物マニフェスト違反と罰則

産業廃棄物収集運搬業許可を取得して事業を継続し、利益を上げ発展させていくためには、廃棄物処理法の規制や罰則について理解を深めていかなければなりません。

理由として廃棄物処理法は他の業法より厳しい罰則が設けられている点が挙げられます。

驚かれるかもしれまんせんが、廃棄物処理法には一人の社員の違反行為が、企業に連座して罰則が適用されるという両罰規定が存在し、企業に対し最大で3億円の罰金が科せられることが条文として明記されています。

こういった背景から収集運搬業者の方は、よりコンプライアンス意識の向上を図っていくことが必須となります。

また収集運搬業を営む方にとって、マニフェストの取扱いといった日常的な業務についても、知らず知らずのうちに廃棄物処理法に違反している状態となっていることも考えられます。

本日は収集運搬業務に伴うマニフェストの取扱いで注意を要する事項について、罰則を交えてご紹介いたします。

 

排出事業者から委託を受けて運搬するには、マニフェストの携行が必要

マニフェストの交付を受けていない産業廃棄物の引受禁止 (青森)収集運搬業務において排出事業者からマニフェストの交付を受けず、産業廃棄物を回収し運搬を行う行為は、廃棄物処理法違反の状態です。

廃棄物処理法第12条の4第2項では、電子マニフェストを使用する場合を除き、マニフェストの交付を受けていない産業廃棄物の引受禁止義務が定められています。

収集運搬業者にとっては、「マニフェストは後日郵送されるから、産廃だけ回収して運搬しよう」といった、特段廃棄物処理法に違反する意図がなく行った行為でも罰則の対象となる場合があります。

排出事業者から委託を受け、産業廃棄物を運搬する際は、マニフェストの携行が必要となりますので、常日頃から徹底して業務を行いましょう。

引受禁止義務に違反すると、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することが廃棄物処理法に明記されています。

※追記 マニフェストの取り扱いに関する罰則が改正されています。
平成29年6月に廃棄物処理法が改正され公布されています。

改正により引受禁止義務違反に対する罰則が「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」の対象となり強化されています。

施行期日は平成30年4月となっています。※施行期日とは、実際に運用が始まる日というイメージです。

なお即座に罰則の対象とせず、行政による「①是正勧告、②是正勧告に従わない場合の公表、③勧告に係る措置命令、④措置命令違反に対する罰則」と段階を踏んで対応していくケースもあります。

廃棄物処理法に規定されているこの段階的な措置は、罰則を適用するためには刑事告発が必要となるため、行政にとって比較的簡単に警告を出すことができるように設けられたものです。

しかし罰則が適用されない場合でも、社名が公表されることとなればインパクトも大きく、企業が多くの年月をかけて構築した信頼が失われる原因にもなります。

産業廃棄物の回収現場でマニフェストを交付してもらう、あるいは、自社のドライバーがあらかじめ用意しているマニフェストに、排出事業者の担当者から回収現場で記入してもらうよう心掛けて下さい。

 

その他収集運搬業務を行うにあたって、主に注意するマニフェストの取扱い

マニフェストの交付を受けていない産業廃棄物の引受禁止の他、マニフェストの取扱いで主に注意する点として、

・マニフェストの写しを5年間保存する

・定められた記載事項をマニフェストに記入する

・マニフェストの虚偽記載をしない

・運搬先である処分業者に到着したら、処分業者の担当者へマニフェストを回付する

・運搬が終了したら、10日以内に排出事業者へマニフェストの写しを送付する

といった事項が挙げられます。

上記の行為に違反した場合も廃棄物処理法では、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することが条文として明記されています。

また即座に罰則の対象とせず、行政による「①是正勧告、②是正勧告に従わない場合の公表、・・・・・」と段階的な措置を行うことについても廃棄物処理法に定められています。

※追記 マニフェストの取り扱いに関する罰則が改正されています。
平成29年6月に廃棄物処理法の改正が行われ公布されています。

マニフェストの取り扱いに関する罰則の多くが強化され、これまでの「6月以下の懲役又は50万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」の対象となりました。
  
施行期日は平成30年4月です。※施行期日とは、実際に運用が始まる日というイメージです。

 

収集運搬業務に伴うマニフェスト違反行為と罰則 まとめ

マニフェスト・罰則に関する勉強会収集運搬業を営む方のマニフェスト取扱いに関して、罰則を交え、基本的な事項をご紹介させて頂きました。

収集運搬業務を行うにあたり、マニフェストの取扱いに関して様々な取り決めや義務が定められています。

排出事業者はもちろんですが、収集運搬業者にとってもマニフェスト伝票の存在は、切っても切り離せないものです。

マニフェストに関して、廃棄物処理法上行ってはいけない取り扱いを知らず知らずのうちに行ってしまい、罰則が適用されることも考えられます。

収集運搬業に携わる方が事業を継続し、発展していくためには、日頃から廃棄物処理法の規制や罰則について敏感となり、理解を深めていくことが必要になります。

社内で定期的にミーティングや勉強会を開催し、マニフェストの取り扱いや罰則に関しての情報を共有していくことも検討してみましょう。

この記事が収集運搬業を営む方のの参考になれば幸いです。最後までお読み頂きありがとうございました。

 

参照:収集運搬業者のためのマニフェスト伝票取扱いの流れと保存期間