「急いでいるから早めに」は問題??建設工事下請契約の見積期間の設定

元請業者は下請契約を締結する前に、工事内容や契約条件等下請契約の具体的な内容を提示し、見積りに必要な一定期間を設けなければなりません。

この見積期間の設定は、下請業者と下請契約を締結するにあたり、適切な見積期間を設け見積落し等の問題が発生しないよう検討する期間を確保し、下請業者に対し下請契約を締結するかどうかの判断を行わせたり、その後の下請工事の適正な施工を行うために定められています。

建設業法施行令では、次のように具体的な日数が定められています。

 

工事予定金額に応じた見積期間

建設業法施行令では、工事予定金額に応じて次のように見積期間が定められています。

 

①工事予定金額(1件)が500万円未満の場合

1日以上

 

②工事予定金額(1件)が500万円以上5000万円未満の場合

10日以上 ※やむを得ない事情がある場合は5日以上

 

③工事予定金額(1件)が5000万円以上の場合

15日以上 ※やむを得ない事情がある場合は10日以上

 

事例とイラストを使って解説

上記①、②、③の期間は下請業者に対する契約内容の提示日から当該契約締結日までの間に空けなければならない期間です。

工事予定金額が上記②に該当するケースですと、10月1日に下請業者に対し契約内容を提示した場合、契約締結日は10月12日以降である必要があります。

またこの期間は下請業者に対し契約内容を提示した日から契約締結日までの間に設けなければならない最低限の期間です。

工事予定金額が上記②のケースですと10日以上の見積期間が必要となります。

「10日以上」ですので、余裕を持って15日間でも20日間でもOKです。

そのため元請業者は下請業者に配慮して十分な見積期間を設定する必要があります。

見積期間が定められているため、下請業者に対し例えば「急いでいるから早めにお願い!」などと見積期間をあいまいにして設定したり、工事予定金額に応じた見積期間を設定せず見積りを行わせることは問題となってきます。