産業廃棄物マニフェスト伝票の種類・数量欄の取扱いや書き方

産業廃棄物の処理を委託するにあたり、交付しなければならないマニフェストについて、「交付をしない」、「定められた記載事項を記載していない(記載に漏れがある)」、「マニフェストの保存義務を怠った」などの不備については、廃棄物処理法により罰則が適用される対象となっています。

そのためマニフェストの管理不足が排出事業者のリスクにつながる可能性があり、産業廃棄物処理の委託において重要な項目です。

今回はマニフェスト伝票の記載において迷いやすい「種類欄」、「数量欄」の取扱い・書き方や「運搬先が異なる場合」、「複数台の車両で運搬する場合」の取扱いについてご紹介いたします。

 

マニフェスト伝票の種類の記載

排出事業者が数種類の産業廃棄物を収集運搬業者や中間処理業者へ引渡す場合、交付するマニフェストは1通ではなく、原則として産業廃棄物の種類ごとに分けて交付します。

これは産業廃棄物がそれぞれの種類ごとに、適切な中間処理や最終処分の方法が異なるためです。

参照:排出事業者のための産業廃棄物マニフェスト取り扱いに関する基本事項と全体像

 

混合した産業廃棄物の取扱い

環境省の通知では、発生段階から複数の産業廃棄物が一体不可分の状態で混合している場合、1種類の産業廃棄物としてマニフェストを交付して差し支えないと紹介されています。

 

1通のマニフェストで運用するには

混合物として、複数の産業廃棄物を1通のマニフェストで運用するには、

・発生段階から複数の産業廃棄物が混合している

・それぞれの産業廃棄物の種類ごとに容易に分離できない

という2つの要件を満たす必要があります。

要件を満たすものとして、廃プラスチック類、金属くず、ガラス・陶磁器くずが混合された状態で発生する電気製品、使用済みOA機器などが挙げられます。

この場合、マニフェストの「産業廃棄物の種類欄」の記載は、該当する複数の項目に✔を入れて対応します。

上記の要件に当てはまらない場合は、産業廃棄物の種類ごとに分けて、マニフェストを交付しなければなりません。

発生の段階では別々に発生した産業廃棄物を、保管時に1つにまとめたようなケースが該当します。

 

処理を委託するにあたり、許可証を確認する

排出事業者は混合物の処理を委託するにあたり、収集運搬業者、中間処理業者が混合物に含まれる産業廃棄物の品目(種類)を取り扱えるのかどうかを許可証で確認し、処理委託契約を締結しなければなりません。

 

マニフェスト伝票の数量の記載

数量はマニフェスト伝票の法的記載事項です。

そのため数量は排出事業者の責任において記載をする必要があります。

空欄のままで交付することは、マニフェストの不適切な運用となりますのでご注意下さい。

平成23年3月17日の環境省の通知では、「数量の記載は、重量、体積、個数などその単位系は限定されないこと」と紹介されています。

重量を計測する機器がなく、正確な数値を把握できない場合でも、見た目からの判断で構わないので、必ず記載するようにしましょう。

委託する産業廃棄物の量などをある程度特定できる数値、

例えば「○○㎥」といった体積、「ドラム缶1本」、「コンテナ1台分」など荷姿単位の数量を記載します。

収集運搬業者や処分業者と産業廃棄物処理委託契約を締結する際などに、数量の記載単位について打ち合わせをしておくのもよいかもしれません。

 

「産業廃棄物の運搬先が異なる場合」や「複数台の車両を使用して運搬する場合」

同じ種類の産業廃棄物でも運搬先が異なる場合、マニフェスト伝票は運搬先ごとに分けて交付します。

そのため、収集運搬業者、処分業者のどちらかが異なる場合、同じ種類の産業廃棄物でも複数のマニフェスト伝票が必要になります。

同じ種類の産業廃棄物を、複数台の車両で同じ目的地に運搬する場合、マニフェスト伝票は運搬車ごとに交付する必要はなく、1通のマニフェスト伝票で運用することができます。

 

参照:収集運搬業務に伴う産業廃棄物マニフェストに関する違反行為と罰則

   収集運搬業者が押さえる産業廃棄物マニフェスト伝票の流れと保存期間