排出事業者が産業廃棄物処理を委託する場合の現地確認の必要性

排出事業者が産業廃棄物処理を委託する場合の現地確認の必要性 (青森)

平成23年度から施行されている改正廃棄物処理法により、廃棄物処理法第12条第7項の「産業廃棄物について発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程における処理が適正に行われるために必要な措置を講ずるように努めなければならない」という条文に、「産業廃棄物の処理の状況に関する確認を行い」という一節が加わりました。

これにより排出事業者は、産業廃棄物処理を委託する業者の処理状況を確認する努力義務が課せられています。

この「確認」については、具体的手段として処理業者の事業場を直接訪問し、産業廃棄物の処理の状況を確認することが考えられます。

これは一般的には現地確認などと呼ばれています。

確認を怠った場合でも罰則はありません。

ですが排出事業者の産業廃棄物の処理責任を果たすため、産業廃棄物処理の委託契約をする際に、どのような処理が行われているのか、委託契約のとおり処理を行ってくれるのか、処理業者を自ら実際に訪問し、確認することが必要です。

「罰則がないから確認はいらないだろう」と確認を一切行わないことはリスクにつながります。

その理由として、平成25年3月29日に環境省が発表した「行政処分の指針について」という通知では、処理業者が不法投棄等の不適正処理を行った場合、不適正処理が行われる可能性が客観的に認められる状況があったにもかかわらず、排出事業者がその状況等について問い合わせや現地確認などの調査行動を何ら講じていない場合は、措置命令の対象となるとしています。

参照:産業廃棄物処理における措置命令とはどんなもの??

そのため委託契約の締結やマニフェストといった、書面による産業廃棄物の管理を行うだけでは、産業廃棄物処理に関するリスクを回避できないことになります。

排出事業者は処理業者へ直接訪問し、処理を委託する産業廃棄物について、適正に処理を行ってくれる業者であることの確認に努めることが必要な行動として求められています。

また産業廃棄物に関する管轄を行っている、都道府県や政令市が独自に定める条例によって、確認することを義務付けている場合もあります。

確認を怠ると、処理を委託する業者の不正が分からず、不法投棄などに巻き込まれる可能性もないわけではありません。

さらにこの通知では、「産業廃棄物処理業の許可制度は、実際に許可を受けた者が適正に処理を行うことまで保証するものではない」としています。

産業廃棄物処理業の許可を出した行政が、処理業者の適正な処理を行うことについて監視するべきとも考えられますが、通知ではこれを否定しています。

信頼できる業者であるかどうかの最終的な判断は、排出事業者の責任で見極め、判断する必要があります。