建設業の専門工事会社さんへ。新しい取引先と仕事をする際は取引先の経営状況を把握しておこう。

自社が得意とする専門工事に関し受注の機会を増やすため、様々な営業活動や取り組みをされ、これまで取引のなかった新たな取引先から受注をするケースもあると思われます。

企業活動を行う上でこれまでの既存の取引先のみならず、事業発展のため取引先の拡大を図ることも重要です。

このサイトでも過去に「これは自社運搬?建設工事で下請・孫請業者が行う産業廃棄物の収集運搬」という記事で、下請や孫請として工事を請負い施工されている方が建設業許可と併せて産業廃棄物収集運搬業許可を受けることで、受注の機会が増える可能性があることをご紹介させていただきました。

新しい取引先から受注をするにあたり、その取引先の経営状況を把握することも重要な仕事となってきます。

 

大変なリスクを抱えて日々仕事をされているからこそ、下請や孫請として仕事をされる機会の多い専門工事会社さんは、取引先の経営状況について把握するよう努めて欲しいと考えております。

自社へ直接依頼のあった建築主様(個人のお客様)の場合、専門工事ですと施工期間が新築工事と比べて短いため、施工後すぐにお金をいただけるケースが多いはずです。

新築工事や大規模なリフォーム工事でも、契約金、中間金、完成金を現金で受け取ったり、住宅ローンにより入金となるケースなど、倒産により不良債権となってしまうことは少ないと思われます。

 

下請として仕事をする場合は、下請工事代金の回収に時間を要する。

これに対し自社が下請や孫請として工事を請負い仕事をされる場合、取引先(元請企業や自社へ発注した下請企業)の経営状況をよく確認・把握しておく必要があります。

これまで取引のなかった新たな取引先から受注する際はなおさらのことです。

取引先の状況をよく知らずに受注し仕事を行い、その後取引先の倒産などにより下請工事代金が回収できなくなってしまったという状態とならないよう注意しなければなりません。

下請工事代金の回収遅れが続くことで自社が資金不足に陥り、倒産につながるケースもなくはありません。

取り越し苦労かもしれませんが、これまで取引のなかった先から受注する際は、「支払いの遅延が長期間あり、これまでの取引先から仕事を受けてもらえなかったから、自社に発注したのでは?」という可能性も経営者の方は頭の片隅に入れておく必要があります。

また下請工事の場合は、代金の半分は月末締めの翌月末払い、残りの半分はサイトが3カ月から4ヶ月の約束手形となるなど、工事代金を回収するのも大変時間がかかります。

そしてこの間に材料費や協力業者さんへ支払う外注費などのお金の立替が発生してきます。

このように下請や孫請として仕事をされる機会の多い専門工事会社さんは、大変なリスクを抱えて日々仕事をされているため、是非とも取引先の経営状況の把握に努めて欲しいと考えております。

 

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取引先の経営状況はどうしたら確認できるのか

民間の信用調査会社に調査を依頼し、調査資料(レポート)を取り寄せて、取引先の状況を把握するという方法も考えられますが、建設業の場合は建設業許可業者に関する閲覧制度を利用する方法もあります。

知事許可の場合ですと、県庁の建設業許可を管轄している課へ行くと、どなたでも建設業許可業者の許可内容を閲覧することができます。

許可申請書の他に各種変更届や事業年度終了届を閲覧することができ、これにより取引先のおおまかな財務状況やどんな工事を行っているのかといった工事実績、どんな方が役員となっているのかなどを知ることができます。

新しい取引先から工事を受注する際はこの閲覧制度を利用して、一度取引先の経営状況を確認してみることをおすすめします。

 

取引開始時のみならず定期的に取引先の経営状況を把握しておきましょう。

取引を開始した時だけではなく、定期的に取引先の状況を確認しておくことをおすすめします。

建設業許可を受けている業者は事業年度終了後4ヶ月以内に事業年度終了届(青森県の場合は決算等届出書といいます。)を提出する必要があります。

事業年度終了届とは、1年間に行った工事の経歴書や建設業財務諸表(損益計算書や貸借対照表、完成工事原価報告書など)を提出し、1年間の事業内容を許可を受けている県へ報告するものです。

閲覧制度を利用することで工事経歴書や建設業財務諸表の閲覧も可能です。

直近の事業年度終了届を確認することで、取引先の最近のおおまかな財務状況や工事経歴などを把握することができます。

年に一度、取引先の事業年度終了届を確認することで、最近の経営状況や財務内容に大きな変化があったかどうか注意を払うことができます。

 

青森県知事許可業者の許可内容を閲覧できる窓口

青森県知事許可業者の許可内容閲覧は、青森県庁舎東棟1階にある青森県県政情報センターで行うことができます。

青森県県政情報センター 青森市長島1丁目1-1 青森県庁東棟1階

 

取引先企業へ訪問してみることも検討してみましょう。

これまでまったく取引のなかった先から工事を受注するのは嬉しい反面、少し不安があると思われます。

許可内容の閲覧制度を利用することに加え、自社の代表者や役員の方が実際に取引先企業へ挨拶を兼ねて訪問し、取引先企業の雰囲気やどんな工事をメインに行っているのか、代表者や役員はどんな方なのかなど、閲覧制度による資料閲覧だけでは分からない情報を収集し、取引先企業の状況を把握することも検討しましょう。

 

最後に

今回ご紹介した建設業許可業者の許可内容閲覧の制度は既に知っていらっしゃる方も多いはずです。

「そんなことならもう知ってるよ」と思った方も実際のところいらっしゃると思われます。

事業を行っていくにあたって、売上代金の回収不能をはじめとした多くのリスクがつきまといます。

そのリスクをなるべく避けるため、取引先の経常状況には定期的に注意を払っていく必要があります。

リスクマネジメントの意味でも閲覧制度を利用した取引先の状況把握について、知っているけど取り組まれていない専門工事会社さんや閲覧制度について知らなかった専門工事会社さんは、この機会に取り組まれることをおすすめします。