古物営業を行う際に必要となる古物商許可と産業廃棄物収集運搬業許可の違い

産業廃棄物収集運搬業許可を受け収集運搬業務を行われている方の中には、「相性が良いから併せて古物商の許可も受けておくとよい」ということを聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

各事業者さんの事業形態により、これまで通り産業廃棄物収集運搬業許可のみを受けていれば構わないということもありますし、古物商許可も併せて受けることでよりお客様のニーズに答えることができ、事業の発展につながる場合もあります。

この記事では、古物商許可制度の簡単な概要や産業廃棄物収集運搬業許可と古物商許可の違いについてご紹介していきます。

 

古物商とは

古物商とは古物商許可を受けて古物の売買や交換をしたり、あるいは委託を受けて(依頼を受けて)売買や交換をする営業を営む人のことをいいます。

街にあるリサイクルショップが身近な存在として挙げられます。

 

古物とはどんなものが当てはまるのか

古物について古物営業法では次のものを指しています。

①一度使用された物品(中古品のことです。)

②使用されない物品で使用のために取引されたもの(使用するために購入をしたものの開封をしていない新古品のことです。)

③上記のいずれかの物品に幾分の手入れをしたもの

 

一般消費者が使用する目的で購入し手に渡ったものは、使用したか使用していないかに関わらず古物営業法に定める古物となります。

古物と聞くと骨董品や古美術品などを思い浮かべる方が多いと思いますが、その他多くのものが古物営業法に定める古物に当てはまることになります。

※物品には商品券や郵便切手などの金券類も含まれます。

※船舶・航空機・工作機械などの大型機械類は物品には含まれません。

 

古物の売買をするのになぜ許可が必要となるのか

古物商許可は公安委員会が管轄をしています。

1つの例として、お金に困っている泥棒が深夜に個人宅に忍び込み、厳重に保管されている楽器を盗みだした場合を挙げてみたいと思います。

この泥棒は自身で楽器の演奏はできないし、これから演奏できるようになりたいとも思っておらず、この楽器本体に興味はありません。

厳重に保管されていたところを見ると何か価値がありそうだと泥棒は思っているとします。

泥棒はお金に困っていることもあり楽器を換金するための1つの方法として、リサイクルショップや古物商許可を持つ楽器の買取りに実績のある楽器店へ持ち込んだらよいのではないかと考えるのではないでしょうか。

そこで換金をするため盗品が持ち込まれる可能性のある古物売買を行う方を許可制の対象とすることで、許可を行う公安委員会が古物売買のルートを把握し、盗品の迅速な発見につなげたいと考えているのです。

万が一盗難の被害があった際は、公安委員会が古物商許可業者(古物売買をしているルート)を事前に把握しているため、古物商許可業者に対し捜査への協力を要請することで、盗難にあったものが発見され持ち主の元へ戻ってくることも考えられます。

また古物の売買をする際は、古物を持ち込んだ方の本人確認や取引の記録を作成する必要があります。

取引の記録には「取引の年月日」、「古物の品目及び数量」、「古物の特徴」、「古物を受け取り、又は引き渡した相手方の住所、氏名、職業及び年齢」、「相手方の確認のためにとった措置の区分」といった事項を記録しておかなければなりません。

そのためどこに住んでいる、誰が、いつ、どんな古物を持ち込んだのか分かってしまいます。

泥棒は「仮に窃盗をして盗品を持ち込み換金しようと試みても実際に換金をするのは難しいかも・・・・・」と考えることで、窃盗・犯罪の事前防止につながります。

古物商許可の制度は窃盗対策・犯罪対策のための制度ということができます。

盗品の売買に伴う市場への流通防止や盗品の迅速な発見を図る観点から、古物営業を行う方は公安委員会から許可を受けなければならないこととしており、許可を受け古物営業を営むにあたり、様々な義務や役割が課せられています。

 

あわせてご参照ください。

参考:古物商許可|許可を受けられない欠格事由は申請前に要確認!

参考:古物商の義務|標識(プレート)の作成や掲示場所に関する基本事項を解説

参考:古物商の従業員が携帯する行商従業者証に関する基本事項を解説

参考:不正品の申告義務や警察から発せられる品触れとは|古物商が古物営業開始後に起こり得る事項

参考:古物の買取・販売をする際の台帳への取引の記録は忘れずに!

 

古物商許可業者の代表的な義務や役割

古物商許可を受けて営業を行う場合に課せられる代表的な義務や役割をご紹介します。

 

○古物商許可を受けている業者であるかどうかを容易に識別することができるよう標識を掲示する。

○営業所ごとにその営業所に関する業務を適正に実施するための責任者として、管理者を一人選任する。

※個人の方が古物商許可を受けた場合は、自らを管理者として選任することができます。

○古物の買受け等を行う際の相手方の確認等の義務

○取り扱う古物が不正品(盗品)である疑いがあると認めたときの申告義務

○古物の取引を行う場合における帳簿等への記載義務

○帳簿等の備え付け義務

○品触れ(盗品等の発見のため必要があると認めたときに古物商に対して被害品を通知することです。)を受けた時に被害品の有無を確認することや届出をすること

○盗品等の疑いのある古物について差し止めを受けた際に保管をすること

○行商(営業所を離れて取引を行うことです。)をする際は許可証を携帯すること

○使用人や従業者に行商をさせるときは、行商従業者証を携帯させること

 

参考:古物営業法改正2018|押さえておきたい基本事項や概要を解説

 

自分で購入し使用したものを売却する場合、古物商許可は不要です。

次の場合は古物商許可が必要となる古物営業にはあたりません。

○古物の買い取りは行わず、古物の売却だけを行う場合

○自己が売却した物品をその売却の相手方から買い受けることのみを行う場合

 

そのため自分で購入し使用したものを売却する場合は、古物商許可を受ける必要はありません。

 

当事者のお金の流れをイメージすると2つの許可の違いが分かりやすくなります。

当事者のお金の流れをイメージすることで、古物商許可と産業廃棄物収集運搬業許可の違いが分かりやすくなります。

 

古物商許可

古物商許可の場合、古物商許可を持った業者が依頼者から古物を買い取ることになります。

買い取りをするため古物商許可を持った業者から依頼者へお金が渡ることになります。

依頼者は古物商許可業者へ古物を引渡します。

 

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産業廃棄物収集運搬業許可

事業所で発生した産業廃棄物の運搬を委託する際は、事業者さん(収集運搬を依頼した方)が産業廃棄物収集運搬業許可業者へ産業廃棄物を引渡し、収集運搬料金を支払うことになります。

先程もご紹介しましたが、古物商許可は窃盗対策・犯罪対策のための制度です。

これに対し産業廃棄物収集運搬業許可は、許可業者へ引渡した産業廃棄物について不法投棄や不適正処理が行われないよう規制をする制度となっています。

参照:産業廃棄物収集運搬業許可に関する記事一覧

 

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併せて古物商許可を受けることでどんな業務や活用ができるのか

買い取ってもらう予定のものと産業廃棄物の分別を事業者さんへお願いしておき、産業廃棄物の収集に訪れた際に、併せて古物の買取りを行うといった業務を行えます。

その買い取った古物を欲しい方へ販売することで利益を得ることが可能です。

もちろん収集運搬業務を行う時だけではなく、依頼者の方に買い取りを希望する古物を持ち込んでもらい、自社の営業所で買い取りを行うことも可能です。

 

 

 

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