最終処分の方法 | 中間処理を経た産業廃棄物処分の簡単な概要

最終処分の方法・中間処理を経た産業廃棄物処分の簡単な概要 (青森 行政書士)排出事業者が産業廃棄物の処理を委託し、中間処理を経た産業廃棄物の最後にたどり着くところが最終処分場です。

環境省の発表によりますと、平成26年度の産業廃棄物の総排出量は約392,840千トン。

約392,840千トンのうち、35%の約138,209千トンが中間処理残さです。

そして約138,209千トンのうち、約133,160千トンは再生利用され、残りの約5,049千トンが最終処分されています。

産業廃棄物の排出から直接最終処分された量(約5,350千トン)と合わせますと、約10,399千トンとなり、総排出量の約3%が最終処分されていることとなります。

排出された産業廃棄物のすべてが最終処分場へ向かうものではなく、減量化や再生利用を経て、総排出量の数%が最終処分されています。

 

最終処分の方法

最終処分とは簡単に申し上げますと、産業廃棄物を適切に処理し、土の中や海洋へ投入してその場所で産業廃棄物を保管し続ける処理方法です。

産業廃棄物をそれ以上変化させず、周囲の環境に影響を及ぼさない状態にします。

最終処分場は、埋め立てる産業廃棄物の種類や性状、環境へ与える影響に応じ、「安定型最終処分場」、「遮断型最終処分場」、「管理型最終処分場」の3つのタイプに分類されます。

 

安定型最終処分場

安定型最終処分場は、雨水にさらされて腐敗したり、変形するおそれのない産業廃棄物を埋め立てる処分場です。

安定型最終処分場で埋め立て処分する産業廃棄物は、廃プラスチック類、ゴムくず、金属くず、がれき類、ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くずとなります。

これらの産業廃棄物は埋め立てしても組成に大きな変化を生じないため、安定型産業廃棄物と呼ぶこともあります。

なお重金属を含むものや有機物が付着しているものは、安定型最終処分場ではなく、遮断型最終処分場や管理型最終処分場で処分されます。

自然環境への影響が少ない産業廃棄物を埋め立てする処分場が安定型最終処分場です。

 

遮断型最終処分場

遮断型最終処分場は、有害な燃え殻、ばいじん、汚泥、鉱さいなどを埋め立てる処分場です。

遮断型最終処分場では、産業廃棄物を外部の自然環境から隔離した状態で保管し続けます。

遮断型最終処分場に埋め立てる産業廃棄物には有害な物質が含まれており、処分場から外部へ流出すると環境への悪影響を及ぼします。

そのため産業廃棄物に含まれる有害物質を自然から隔離するため、処分場への雨水流入防止を目的として、屋根等の覆いや雨水排除施設が設置されています。

また遮断型最終処分場そのものから有害物質が流出することを防止するため、外周仕切設備や内部仕切設備が設置されています。

 

管理型最終処分場

管理型最終処分場では、雨水にさらされると有害物質の溶出が懸念される産業廃棄物のうち、遮断型最終処分場でしか処分できない産業廃棄物以外のものが埋め立て処分されています。

廃油(タールピッチ類に限る)、紙くず、木くず、繊維くず、動植物性残さ、動物のふん尿、動物の死体および燃え殻、ばいじん、汚泥、鉱さい等が埋め立てされています。

有害物質が溶出した雨水は地下水汚染の原因となるため、管理型最終処分場では、埋め立て地盤を覆う「雨水の地下浸透防止設備(遮水シート)」を設置し、排水の無害化処理施設が設置されています。

 

埋め立て処分ができない産業廃棄物

上記のいずれの最終処分場でも廃酸、廃アルカリ、感染性廃棄物の埋め立てはできません。

 

最後に

以前、最終処分場のひっ迫問題がニュースで取り上げられていたことが記憶にある方もいらっしゃるはずです。

中間処理の能力が高くなったことや再生利用が推進され、最終処分場の残余年数は、全国ではほぼ横ばいの状態が続いています。

排出された産業廃棄物のすべてが何らかの形で再生利用されることになればベストですが、現状では総排出量の数%が最終処分されており、最終処分場は不可欠な存在です。

新たに最終処分場を設置する場所(土地)にも限りがあるため、現在設置されている最終処分場の維持や有効活用が必要と考えます。