政令市の増加に伴う排出事業者の産業廃棄物管理や対応の主な変更点

政令市の増加に伴う排出事業者の産業廃棄物管理に関する主な変更点を押さえる。 (青森県 青森市)廃棄物処理法政令市(以降、政令市と記載します。)の増加に伴い、排出事業者の方にとっては、現状より産業廃棄物の管理について作業が増え、複雑になることが多いのではないでしょうか。

その原因として産業廃棄物に関する行政の管轄が都道府県と政令市に分かれていることが挙げられます。

さらに政令市については、「地方自治法に規定する指定都市、中核市」に分類され、管轄が分かれます。

産業廃棄物に関する許可権限、各種業務については、都道府県に権限がありますが、その一部については政令市が担っています。(廃棄物処理法施行令第27条)

中核市については、今後も増えていくことが予想されます。

そのため「県内に支店や支所をはじめとした多くの事業所がある企業」や「県をまたがり、広域に営業展開をしている企業」で産業廃棄物を排出している場合は、いくつもの自治体への対応が必要となり、管理が複雑になる原因となっています。

今回は「管轄自治体の一覧」と「政令市が増加した場合における、排出事業者の方に関わりの多い主な産業廃棄物管理に関する変更点」についてお伝えしていきます。

 

管轄自治体

※本記事投稿時点のものですので、変更となっている場合もあります。

47都道府県

北海道 

青森県 岩手県 宮城県 秋田県 山形県 福島県

茨城県 栃木県 群馬県 埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県

新潟県 富山県 石川県 福井県 山梨県 長野県 岐阜県 静岡県 愛知県

三重県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 奈良県 和歌山県

鳥取県 島根県 岡山県 広島県 山口県

徳島県 香川県 愛媛県 高知県

福岡県 佐賀県 長崎県 熊本県 大分県 宮崎県 鹿児島県

沖縄県

 

地方自治法で定める指定都市

札幌市 仙台市 新潟市 さいたま市 千葉市

横浜市 川崎市 相模原市 静岡市 浜松市

名古屋市 京都市 大阪市 堺市 神戸市

広島市 岡山市 北九州市 福岡市 熊本市

 

地方自治法で定める中核市

旭川市 函館市 青森市 八戸市 盛岡市

秋田市 郡山市 いわき市 宇都宮市 前橋市

高崎市 川越市 越谷市 柏市 船橋市

八王子市 横須賀市 富山市 金沢市 長野市

岐阜市 豊橋市 岡崎市 豊田市 大津市

豊中市 高槻市 枚方市 東大阪市 尼崎市

西宮市 姫路市 奈良市 和歌山市 倉敷市

呉市 福山市 下関市 高松市 松山市

高知市 久留米市 長崎市 佐世保市 大分市

宮崎市 鹿児島市 那覇市

福島市、川口市、八尾市、明石市、鳥取市、松江市

山形市、福井市、甲府市、寝屋川市

水戸市、吹田市

松本市、一宮市

 

追記

山形市、福井市、甲府市、寝屋川市の4市は、2019年4月1日より中核市へ移行となります。

水戸市、吹田市の2市は、2020年4月1日より中核市へ移行となります。

松本市、一宮市の2市は、2021年4月1日より中核市へ移行となります。

 

マニフェスト交付等状況報告書

排出事業者は電子マニフェスト分は不要ですが、紙マニフェストを1枚でも交付している場合、毎年6月30日まで、マニフェスト交付等状況報告書を該当する都道府県や政令市ごとに提出しなければなりません。

新たに政令市となった地域内で産業廃棄物を排出し紙マニフェストを交付した場合、その政令市部分については、これまで都道府県に提出していた報告書を、新たに政令市となった自治体へ提出することになります。

提出先が変更となりますので注意が必要となります。

 

多量排出事業者が行う報告

新たに政令市となった地域内に事業場があり、多量排出事業者に該当する場合、「産業廃棄物の減量と処理の計画」や翌年度に提出する「計画の実施状況報告」の提出先がこれまでの都道府県から政令市へ変更となります。

また政令市によっては、多量排出事業者の範囲を拡大し、計画書の作成と計画の実施状況の報告を課している場合もあります。

そのため事業場がある政令市へ問い合わせをしたり、ホームページ等で確認をする必要がでてきます。

参照:多量排出事業者の報告書提出義務とそれに伴う罰則

 

建設廃棄物を排出場所場外で保管する場合の事前届出

建設廃棄物の排出事業者は、建設廃棄物を排出場所から移動させて300㎡以上の保管場所で保管をする場合、事前に届出が必要となります。

新たなに政令市となった自治体に保管場所の所在地がある場合は、都道府県ではなく政令市へ届出を行います。

また自治体が独自に定めた条例により、届出対象となる保管面積を100㎡以上とする等、廃棄物処理法とは異なる基準で保管場所の届出を義務付けている場合もあります。

参照:怠ると罰則も。建設廃棄物を場外保管する場合の事前届出

 

政令市の増加に伴う上記以外の対応

新たに政令市が誕生することにより、排出事業者の方が注意を要する主な対応についてお伝えしてきました。

上記以外にも政令市で発生した産業廃棄物に関する相談や対応、PCB廃棄物保管・処分等届出などを新たな政令市へ行うこととなります。

政令市が増加した場合、対応に不備がないか確認が必要となります。

各政令市のホームページにも各種相談や手続きに関する情報がありますのでご参照下さい。

 

処理業者へ産業廃棄物処理を委託する場合

新たに政令市となった場合、みなし許可と呼ばれ、これまでの都道府県知事の許可を政令市長が許可したものとみなし、引き続き有効に扱われます。

そして許可更新時に、政令市長が許可をする取扱いとなります。

そのため処理委託先がこれまで有していた許可に関する処理がすぐにできなくなるものではありません。

なお積替保管を行わない収集運搬業許可については、都道府県知事の許可があれば、政令市を含む都道府県の全域で収集運搬業務を行うことができます。