営業所に配置する主任電気工事士の要件や役割と主任電気工事士の選任・変更が必要な4つのケース
一般用電気工作物の設置、変更の電気工事の業務を行う営業所には、営業所ごとに主任電気工事士1名を配置する必要があります。
主任電気工事士は、現場で工事の作業に携わるだけでなく、一般用電気工作物の工事の作業を管理する役割があります。
この記事では、営業所ごとに配置する主任電気工事士の要件や役割(職務)、主任電気工事士の選任・変更が必要となる4つのケースについてご紹介しております。
これから新たに電気工事業の開始を検討されている方はご参照ください。
主任電気工事士となるための必要な資格
主任電気工事士となるには、次の一定の要件を備えている必要があります。
また①又は②の要件を満たした人が自社に在籍している必要があります。
①第一種電気工事士免状を取得している人
②第二種電気工事士免状を取得した後、3年以上の電気工事に関する実務経験を有し、それを証明できる人
※現在電気工事士であり、これから1人で電気工事業を営もうとする場合(一人親方など)は、その方が主任電気工事士となれる要件を満たしており、主任電気工事士に就任しますと、別の人を主任電気工事士として配置する(雇用する)必要はありません。
主任電気工事士は、一般用電気工作物の工事による危険、障害が発生しないよう電気工事に関して高度な専門的知識や技能を有していることが求められます。
そのため「第一種電気工事士免状を取得している人」または「第二種電気工事士免状の取得後、一定の実務経験を備えた人」が必要となります。
第一種電気工事士とは
第一種電気工事士は、一般用電気工作物と自家用電気工作物の電気工事に携わることができます。
第一種電気工事士の方は、免状の交付を受けた日から5年ごとに定期講習を受講する必要があります。
第二種電気工事士とは
第二種電気工事士は、一般用電気工作物の電気工事のみ携わることができます。
第二種電気工事士免状の取得だけですと、自家用電気工作物の電気工事に携わることができません。
第二種電気工事士の方は実務経験を証明してもらう必要があります。
実務経験は、電気工事業法の登録を受けた業者や届出をしている業者に証明してもらう必要があります。
以前、電気工事会社に勤務されていて、これから独立して電気工事業を営もうとする場合、以前の勤務先の電気工事会社に証明してもらいます。
電気工事業法の登録や届出をしていない業者から証明してもらうことはできません。
そのため建設業許可は受けているものの、電気工事業法の登録や届出をしていない業者から証明をしてもらうことはできないことになります。
また実務経験に算入できるのは、第二種電気工事士免状を取得した後、3年以上の実務経験です。
そのため現在第二種電気工事士で、これから独立して一人で一般用電気工作物の工事施工の電気工事業を営もうとする場合(一人親方など)は、実務経験証明書をもらうために、以前勤めていた電気工事会社から協力してもらう必要があります。
主任電気工事士は他の営業所との兼任ができない
主任電気工事士は、一般用電気工作物の工事を行う他の営業所の主任電気工事士を兼任することはできません。
また一般用電気工作物の工事を行う他社の電気工事業者の主任電気工事士となることもできません。
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主任電気工事士の役割・職務の内容
「主任電気工事士の役割や具体的な職務の内容」
○配線図の作成及び変更、これに関与しない場合はそのチェックをすること
○一般用電気工事が電気工事に関係する法令に違反しないように管理すること
○立入検査を受ける場合の立ち会い
○一般用電気工事の検査結果の確認
○帳簿の記載上の管理監督
○その他一般用電気工事に関する一般的な管理監督 等々
主任電気工事士も登録の拒否事由に該当していないことが必要
申請をする人(個人事業主本人、法人の事業者)や法人の役員の他、主任電気工事士も登録の拒否事由に該当していないことが求められます。
登録の拒否事由とは
登録の拒否事由とは、誤解を恐れずに簡単に申し上げますと、過去に電気工事に関する法律に違反したため、電気工事業を営むのにふさわしくない方を類型化し、当てはまる方について電気工事業を営めないこととしているものです。
次の①~④のケースに該当する人は、主任電気工事士として営業所に配置することができません。
①過去2年以内に電気工事に関する法律に違反して罰金以上の刑罰を受けた者
②過去2年以内に電気工事業の登録を取り消されたことがある者
③電気工事業の登録を受けた法人が登録を取り消され、取消処分のあった日前30日以内にその法人の役員であった者で、取消処分のあった日から2年を経過していない場合
④事業の停止を命じられ、その停止の期間中に電気工事業を廃止した者であって、その停止の期間に相当する期間を経過していない場合
営業開始後、主任電気工事士が登録の拒否事由に該当した場合
営業開始後に主任電気工事士が登録の拒否事由に該当した場合は、該当することを知った日から2週間以内に新たな主任電気工事士を選任する必要があります。
自社の状況に応じ、主任電気工事士を選任・変更する必要がある4つのケース
次に挙げる4つのケースに該当する場合は、該当することを知った日から2週間以内に新たな主任電気工事士を選任する必要があります。
併せて選任の日から30日以内に、主任電気工事士に関する届出する必要があります。
○主任電気工事士が登録の拒否事由に該当した時
○主任電気工事士が退職、病気などで欠けた時
○営業所が一般用電気工作物の設置、変更の工事の業務を行う営業所となった時
○新たに一般用電気工作物の設置、変更の工事の業務を行う営業所を設置した時
主任電気工事士を選任しなかった場合の罰則
上記のケースに該当したにもかかわらず、主任電気工事士を選任せず電気工事業を営んでいる場合は、3万円以下の罰金の対象となりますので注意が必要です。
あわせてご参照ください。
参考:電気工事業の登録(通知)が必要な人と不要なケース、手続きをしない場合の罰則のこと
参考:電気工事業の登録(通知)を受けるための要件や必要な資格者のこと
参考:登録票(標識)の掲示や更新手続きなど電気工事業の開始にあたり知っておきたいこと
参考:電気工事業登録|建設業許可を受けても届出(通知)をしないと「みなして」くれません。
参考:家電量販店の協力会社としてエアコン取り付け設置工事を行う際の登録や許可
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