建設業許可を受ける際に配置が必要な専任技術者の要件
建設業許可には29の業種があり、業種毎に許可が出ています。
建設業許可を受けるための要件の1つとして、営業をしようとする業種(許可を受けようとする業種)について、建設工事の施工に関する専門の技術者(国家資格者等または一定の実務経験のある方)を営業所に専任で配置することが求められています。
この技術者のことを専任技術者といいます。
許可を受ける業種に関する工事内容に精通し、専門知識を持っている「技術の責任者」を営業所に配置するというイメージで構いません。
この専任技術者の営業所への配置は、経営業務の管理責任者に次ぐ重要な許可要件となっています。
許可を受けようとする業種に対応する専任技術者を営業所に配置することで、適正な工事の施工を確保し発注者を保護しようという目的があります。
この記事では、専任技術者になるための要件や専任技術者になれない人について紹介します。
ー建設業許可の要件の構造ー
■経営業務の管理責任者に関する記事
■誠実性に関する記事
■財産的基礎に関する記事
■欠格要件に関する記事
専任技術者になるための要件
営業所に配置する専任技術者となるには、国家資格者等の保有者または一定の実務経験を備えている必要があります。
建設業許可は29の業種があり、業種によって専任技術者となるための必要な資格等が異なります。
関連記事:建設業許可の29業種一覧
一般建設業許可の場合
一般建設業許可の場合、次のいずれかの方が専任技術者となることができます。
▬特定の学科の卒業+建設工事の施工に関する一定期間の実務経験
ー例ー
高卒の特定の学科を卒業の場合、5年以上の実務経験
大卒の特定の学科を卒業の場合、3年以上の実務経験
※実務経験は許可を受けようとする業種に関する実務経験が必要となります。実務経験には、建設工事の施工を指揮・監督した経験や建設機械の操作等を行い、実際に建設工事の施工に直接携わった経験の他、技術の習得するための見習期間も含まれます。
技術上の経験が求められるため、事務系の仕事に関する経験は含まれません。
ー学科の一例ー
土木工事業・・・土木工学や都市工学に関する学科
建築工事業・・・建築学や都市工学に関する学科
電気工事業・電気通信工事業・・・電気工学や電気通信工学に関する学科
管工事業・・・土木工学や建築学、機械工学、都市工学に関する学科
▬10年以上の建設工事の施工に関する実務経験
※実務経験は許可を受けようとする業種に関する実務経験が必要となります。実務経験には、建設工事の施工を指揮・監督した経験や建設機械の操作等を行い、実際に建設工事の施工に携わった経験の他、技術の習得するための見習期間も含まれます。
技術上の経験が求められるため、事務系の仕事に関する経験は含まれません。
▬国家資格者等
ー資格の一例ー
・1級・2級の建設機械施工技士
・1級・2級の土木施工管理技士
・1級・2級の建築施工管理技士
・1級・2級の電気工事施工管理技士
・1級・2級の管工事施工管理技士
・1級・2級の電気通信工事施工管理技士
・1級・2級の造園施工管理技士
・1級・2級の建築士
・木造建築士
・第1種・第2種の電気工事士 ※第2種の場合、資格合格後に3年間の実務経験が必要
都道府県のホームページ内や都道府県が発行している建設業許可申請に関する資料(手引き)に、どの資格がどの業種の専任技術者となれるかが分かる表が掲載されていることが多いです。表を確認することで現在保有している資格について、どの業種の専任技術者となれるのかが分かります。
青森県知事許可に関する申請の場合、青森県建設業ポータルサイト内に「有資格コード一覧」という資料が掲載されています。
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特定建設業許可の場合
特定建設業許可を受けることで高度な技術力が求められる大規模工事を請負う機会が多くなります。
そのため特定建設業許可を受ける場合は、大規模な工事の適正な施工を確保する観点から、営業所に配置する専任技術者の要件が厳しくなります。
関連記事:建設業許可の一般と特定の違い
特定建設業許可を受ける際の営業所に配置する専任技術者は、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
■許可を受ける業種に対応した技術検定や資格試験に合格した者
ー資格の一例ー
・1級建設機械施工技士
・1級土木施工管理技士
・1級建築施工管理技士
・1級電気工事施工管理技士
・1級管工事施工管理技士
・1級電気通信工事施工管理技士
・1級造園施工管理技士
・1級建築士
■一般建設業許可の専任技術者の要件+発注者から直接請負った工事の請負金額が4500万円以上の工事に関して2年以上の指導監督的な実務経験のある者
■国土交通大臣が認定した者
7業種についてはさらに要件が増します。
土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業の7業種の特定建設業許可については、1級の国家資格者または国土交通大臣が認定した者でなければなりません。一般建設業許可の専任技術者の要件を備えて、2年以上の指導監督的な実務経験があるケースでは、専任技術者の要件を満たさないことになります。
専任とは
専任技術者は、休日や勤務を要しない日を除いて、営業所で常時勤務することが求められています。
現場に出て工事の施工に携わるのではく、営業所にいて仕事をするのが役割です。
常勤の役員や常勤の従業員から選任する
専任技術者は、常勤の役員(個人事業の場合は個人事業主)の方あるいは常勤の従業員の方から選任します。
国家資格者や一定期間の実務経験のある方であれば、役員の他に常勤の従業員も専任技術者となることができます。
そのため専任技術者は、経営業務の管理責任者と比較して、要件を満たしている方を探しやすいです。
29業種のうち2つ以上の業種の許可を受けようとする際、専任技術者に関して1つの業種の要件を満たしている方が他の業種の専任技術者の要件も満たしている場合、同じ営業所内では1人で複数の業種の専任技術者となることが可能です。
また本店(本社)で経営業務の管理責任者になっている方が、国家資格や一定期間の実務経験を持っている場合、本店の専任技術者を兼ねることができます。
専任技術者になれない人
営業所での専任制が認められず、専任技術者となることができない方として次の方が挙げられます。
- 勤務する営業所が現住所から著しく遠距離にあり、社会通念上、通勤することができない方
- すでに他の営業所や他の建設業者の専任技術者となっている方
- 管理建築士や専任の宅地建物取引士など他の法令で別の営業所での専任が求められる方(※同じ営業所内で兼任するときは除きます。)
- 他に個人事業を行っている方や他の法人の常勤役員となっている方
- パートやアルバイト、契約社員など有期の雇用契約をしている方
専任技術者が変更となる場合は2週間以内に届出が必要
専任技術者が変更となる場合は、変更後2週間以内に許可を受けた自治体へ変更の届出を行います。
専任技術者になっている取締役の方が急に体調を崩したり、専任技術者となっている従業員の方が急に退職してしまうことも考えられます。
そのため建設業許可の維持の観点から不測の事態に備え、専任技術者となれる要件を満たす方の確保について考えておく必要があります。
資格を取得し自社の建設業許可維持に貢献している従業員に手当を支給する等、資格取得を奨励する仕組みを設けることも1つの方法です。
常勤性や資格・実務経験を示すために資料を提示する
新規に建設業許可を取得しようとする場合や専任技術者を違う方へ変更する場合、新たに専任技術者となる方が営業所へ通勤できる範囲に住んでいるのか、会社に常勤で所属しているのかを確認されます。許可申請や変更届出にあたって常勤性を示す資料を自体の申請窓口へ提示する必要があります。
加えて、専任技術者となるための資格を持っているか、実務経験が備わっているかを証明する資料も提示する必要があります。
青森県知事許可に関する申請や変更届出をする場合、管轄の地域県民局地域整備部へ次の資料を提示します。
1 現在の常勤性を確認できる資料
現在の常勤性を確認できる資料として「現住所が確認できる資料」と「常勤が確認できる資料」の2つを提示します。
現住所が確認できる資料
▬住民票
常勤が確認できる資料
常勤が確認できる資料として次のいずれかを提示します。
▬雇用保険被保険者資格喪失届の原本
▬社会保険標準報酬月額決定通知書の原本
▬社会保険被保険者資格取得確認通知書の原本
▬健康被保険者証の写し
▬住民税特別徴収税額通知書の原本
▬確定申告書控の原本 ※法人の場合、第一表+役員報酬の内訳書 個人の場合、第一表+第二表
2 資格や実務経験を証明する資料
資格を証明する資料
▬合格証の原本
▬資格証明書の原本
実務経験を証明する資料
証明者が建設業許可を有している期間の場合
▬期間分の建設業許可指令書の写し又は決算等届出書の副本
証明者が建設業許可を有していない期間の場合
▬期間分の工事請負契約書、請書、注文書、請求書の原本
ー青森県での建設業許可申請を代理・サポートしますー
当事務所では、青森県での建設業許可申請を代理・サポートいたします。
申請書類の作成や自治体への申請手続き、添付書類の収集の他、許可要件が整っているかの調査、どの業種で申請したらよいかの判断など事業者様に代わって行います。
手続きの代理・サポートが必要でしたらお問い合わせください。
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