産業廃棄物処理の委託基準違反に伴う罰則
排出事業者が産業廃棄物の処理を処理業者へ委託する際に、守るべき委託方法や手続きを委託基準と呼びます。
その委託基準の中でも特に重要な点は、「処理業者と事前に書面で委託契約を締結すること」、「処理を委託する種類の産業廃棄物を取扱える業者へ委託すること」です。
これらに関し違反がありますと、罰則の対象となります。
今回は委託基準の違反に伴う罰則についてご紹介いたします。
委託契約書の内容に不備がある場合と罰則
廃棄物処理法で定められている委託契約書の記載事項がもれている場合は、委託基準違反となります。
注意が必要なのが処理業者に契約書を作成してもらっているケースで、廃棄物処理法で定められた記載事項がもれている場合でも、排出事業者のみがその責任を負うことです。
委託基準は産業廃棄物の処理を委託する人が守るべき基準です。
そのため委託する排出事業者が規制の対象となります。
記載事項がもれていたり、委託契約書を作成していない場合、委託基準違反として「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれの併科」の対象となります。
処理業者へ委託する際は、廃棄物処理法で定められた記載事項を抜かりなく備えた委託契約書を整えましょう。
廃棄物処理法で定められた記載事項を備える契約書を作成し、委託基準を順守することにより、万が一不法投棄などにあった場合でも措置命令の対象となるのを防ぐことができます。
参照・産業廃棄物の委託契約書における法定記載事項と基本的ルール
無許可業者への産業廃棄物処理の委託と罰則
無許可業者へ処理を委託した場合、「5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれの併科」の罰則対象となります。
これは廃棄物の不法投棄や不法焼却と同様の重い罰則です。
許可を持った業者でも、処理を委託する種類の産業廃棄物を取扱えるのか確認をしなければなりません。
許可は持っているものの、委託する種類の産業廃棄物を取扱えない業者へ委託した場合も、無許可業者への処理委託に該当します。
そのため処理業者の許可証の写しを確認する必要があります。
許可証の写しで主に確認しておく点
・許可が現在でも有効か
・委託する種類の産業廃棄物を取扱えるのか
・積替え保管の面積や容量
・処理能力を確認し、委託する数量を受け入れる余力があるか
・許可に条件がつけられているか
さらに処理業者のホームページや都道府県など行政のホームページで許可情報を確認し、委託する処理業者の情報をチェックしましょう。
併せて処理業者の事業場を訪問し、許可内容と実際の処理施設の状況とを照らし合わせたり、優良産業廃棄物処理業者認定制度による優良認定業者に関する情報を収集します。
参照:排出事業者が産業廃棄物処理を委託する場合の現地確認の必要性
優良産業廃棄物処理業者認定制度とはどんなもの???
優良産業廃棄物処理業者認定制度とは、遵法性、情報公開性、環境保全への取り組みなど一定の基準を満たした処理業者を優良認定業者として認定する制度です。
認定を受けた処理業者は、通常5年間の許可期間が7年に伸長されます。
優良認定業者に関する情報が、産業廃棄物処理事業振興財団のホームページに公開されています。
処理業者を選択する際の参考にしましょう。
右サイドバーの「優良さんぱいナビ」か「産廃処理業者検索」をクリックし操作していくと、確認できます。
参照:優良産業廃棄物処理業者の認定制度やメリットについて書いた記事はこちらです。