古物の買取・販売をする際の台帳への取引の記録は忘れずに

古物商は古物営業法に定める一定の古物取引をした場合、古物台帳などへ取引の情報を記録することが義務付けられています。

 

なぜ取引の記録が義務付けられているのか

万が一盗品の売買が行われて市場へ流通した際、早期に盗品を発見し、被害の回復を図るためです。

古物商が古物の売買をする際に行う取引の記録から盗品売買のルートを特定するために、日々の古物の仕入れ先や販売先を明らかにし、取引を記録しておくことが義務付けられています。

この取引の記録により「いつ」、「どんな方が」、「どんな古物」を持ち込んだのかを把握することができます。

また「いつ」、「どんな方へ」、「どんな古物を販売したのか」の把握も可能となります。

参考:古物の売買をするのになぜ許可が必要となるのか|古物商許可と産業廃棄物収集運搬業許可の違い

 

古物台帳に記録する事項

古物台帳には次の事項を記載する必要があります。

○取引の年月日

○古物の品目及び数量

○古物の特徴

○古物を受け取り、又は引き渡した相手方の住所、氏名、職業及び年齢

○相手方の本人確認の方法

 

古物を買い取るときは本人確認義務を免除される一部の取引を除き、すべての取引について記録義務があります。

これに対し古物を販売したときは、「美術品類」や「時計・宝飾品類」、「自動車」、「自動二輪車・原動機付自転車」を売却したときのみ記録する義務があります。

 

取引の記録に関する罰則もある。

取引の記録を記載していない場合や虚偽の記載をしている場合は、「6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の対象となります。

警察による盗品の捜査や立入検査の際、盗品売買のルートを特定・把握するために取引の記録のチェックが行われます。

そのため古物商が日々の業務において取引の記録を付けることは、コンプライアンスの観点のみならず、将来的に継続して古物営業を営んでいくために自分自身を守ることともいえます。

 

古物台帳の様式

 

2018年10月 自動車に関する記載の改正・施行が行われています。

古物営業の実態に鑑み、自動車に関する古物の特徴欄における記載例を規定するなどの古物営業法施行規則の改正が行われています。

改正に伴い自動車に関する取引において、帳簿の特徴欄に、「自動車検査証記載のナンバー」、「車名」、「車台番号」、「所有者の氏名等」を記載することとされました。

2018年10月より運用が始まっています。

参考:古物営業法改正2018|押さえておきたい基本事項や概要を解説

 

古物台帳は営業所に備え付けが必要

古物台帳は最後の記載をした日から3年間営業所に備え付けておく必要があります。

またパソコンで取引の記録を管理している場合、記録をした日から3年間、要求をされた際に営業所において直ちに書面に印刷できるように保存をしておく必要があります。

古物台帳を紛失したり、パソコンで保存している取引の記録に関するデータを削除や消失してしまった場合は、「古物商の営業所の所在地を管轄する警察署」へ届出をしなければなりません。

これに違反をして届出をしない場合や虚偽の届出をした場合は、「6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金」の対象となります。

 

最後に

最後までお読みいただきましてありがとうございます。

古物商許可の取得を検討されている方は、許可を受け実際に古物営業を開始すると古物台帳へ取引の記録の記載や管理が必要となることを踏まえ、許可取得の準備を進めてください。

 

参考:古物商許可|許可を受けられない欠格事由は申請前に要確認!

参考:古物商の義務|標識(プレート)の作成や掲示場所に関する基本事項を解説

参考:古物商の従業員が携帯する行商従業者証に関する基本事項を解説

参考:不正品の申告義務や警察から発せられる品触れとは|古物商が古物営業開始後に起こり得る事項